夕げ

こんにちは

4月

蛍光灯で常に白っぽいオフィスから、ブラインドの隙間に指を差し込んで外を覗くと、5時になるのにまだ明るかった。びっくりした。夏至が来るまで存分に日永を楽しんでおきたい。毎年思って毎年忘れる。

一人暮らしを初めて1ヶ月の、私の1Kのアパートのリビングには、まだ照明がない。初めのうちは、取り付けも面倒だし、そもそも暗い方が好きだし、アウトドア気分でいいだろうと、キャンプ用のLEDランタンを焚いて不便なく過ごしていた。だが、仕事が始まってからはいちいちキッチンからリビングまで食事を運ぶのも面倒になって、キッチンに置いてある折り畳みの脚立に腰掛けて夕飯を食べている。ちなみに、キッチンには入居当初から照明が大小合わせて3つも備え付けてあった。設計者はこうなることが分かっていたんだろうか。

今年もあっという間に桜が散って、梅雨を前に季節が足踏みしている。名前のない季節。夏が来る頃、4月につやつやに光る「新卒」の名前を与えられた私はどんな顔をしているだろうか。