夕げ

こんにちは

以来!

ながく延びた梅雨が、まだ居座っているね。

重たくべたついた空気は、こないだの金曜日と土曜日の、沸騰したやかんから熱いお湯がふきこぼれるような、初雪にジャンパーをひっかけて庭へ駆け出すときみたいな、そんな興奮を、冷めやらぬ熱量をそのままに、じっとりと保温している。

きらびやかなステージとしびれるような高揚感、何万もの光の明滅、雨のにおい、夏の足音、宵の口。どれも日常からとおく距離を置いた「ゆめ」だった気がするけど、孤独、憂鬱、別れ、寂しさ、死ぬ、生きる、日常の真んなかにどしんと鎮座してどいてくれない切なさと逃れられないかなしみを歌うものだから、「ゆめ」の空間のなかにいながらひとしお日常を意識させられて、ぜんぶ一緒に「これでいんだよ」って、鼻を鳴らして抱きしめられたのがほんとだった。

わたしが融けて海に流れてしまいそうな、蒸発してあっちへ飛んで行ってしまいそうな、心臓が熱くて、ときおりぎゅっと目をつむって息を止めないと体のあちこちから何かが溢れ出してしまいそうな、名前の知らない感情がほとばしって、ほとばしったままあの日が終わらない。

ひとが生んだ言葉で、ひとは知らない感情を知って、それらのあんまりの眩しさに涙さえ沈黙しちゃうときもあるらしい。

わたしの日常のなかにあの金曜日と土曜日がたしかにあって、わたしは地続きのあたらしい金曜日をやり終えた。あの日の続きだっていう事実で、つづく土曜日も日曜日も、月曜日も、ちょっと彩度を上げたようにみえる。

せわしない7月も、鼓動が高鳴ったまま駆け抜けるかも!大好き!