夕げ

こんにちは

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

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「窓を開けると、夜が部屋へ流れ込んでくる」という一節を、中学のとき詩に書いた。市内のコンクールに提出するやつに。賞はもらえなかった。もうひとりクラスで選ばれて一緒に詩を送った子が特選だった。「太陽はみんなのおかあさん」みたいな詩。わたしは…

連続しない

坂道が続いていた。 踏切がけたたましく鳴るのを待ちながら、老人が言う。 あっちは黒い雲だ。こちらは、こんなに晴れているのに。 踏切の向こうを指した。並んだ老婆が腰を伸ばして言う。 本当、変な日ね。 電車がごう、と沈黙を敷いた。 黒い雲は見えなく…

記し

戦争に行った老人が、自身の戦争体験を記者に話し切った途端に呆けてしまって、何もわからなくなったという話を聞いたことがある。 思い出を言葉にして書き連ねてしまうと、絶対に忘れまいとできごとを反芻しては色を保っていた脳みその機能がが役目を終えた…