夕げ

こんにちは

2020-01-01から1年間の記事一覧

金木犀の夜

朝の間際、夜の去り際まで窓を開けて作業していると、昨日の朝に突然香り始めた金木犀の香りが遠慮がちな夜風といっしょに流れ込んできた。 夜の金木犀は、ふくよかで官能的な、秘めごとめいた香りに感じる。風呂上がりのシャンプーの香りが遠のいていくほど…

「どうして子供が欲しいって思うんだろう」とわたしも思います。

「嫌味じゃなくて単純な疑問なんだけど」という枕詞を付して、どうして子供を産もうと思うのか疑問を呈するツイートがたくさんリツイートされています。この件について、わたしも長年同じ疑問を抱き続けていたので、鍵垢から渾身のいいねを押さずにはいられ…

誤り

先日、朝からなんとなくいらいらしている日があった。 そういう日はもう目覚めた時からいらいらしている。窓を閉め切った部屋で昼前に目覚めて、身体が汗でべたべたしていることにどうしようもなく腹が立った。眉間にしわを寄せてもだえるように何度か寝返り…

ただ白

長雨が脳みそまで溶かしてしまうような7月だった。 今年はずいぶん梅雨が長引いて、まだ陰気な湿度が街を覆っている。 春が過ぎて夏が本腰を入れようとするのを、部屋の椅子に腰かけてぼっと眺めている。退屈なテレビをつけっぱなしに見るでもなく見ている…

話したくないことについて

話が上手な人より聞くのが上手な人のほうがすごい、というのが社会で通説になってどのくらいになるだろう。あちこちで聞き上手であることが評価される。わたしも聞き上手への評価を疑わなかった。聞き上手な保健室の先生を尊敬していたし、相手が話しやすい…

連続しないことについて

一昨年、大学の講義で震災文学論というのを履修した。担当の先生が、大学の先生では相当めずらしく予備校の講師ばりに授業が上手で、いつも一番前の席で受講した。授業を楽しみに一週間を過ごすというのは、わたしの長い学生生活のなかでもなかなかないこと…

「陰キャラ」を考える

COVID-19の影響で、おいそれと部屋の外には出られない日が続きますね。 いちおう就職活動中の身ですが、まだ一度も面接が行われず、ウェブでの面接もなく、毎日エントリーシートを書いたり書かなかったりするだけの、あまり実感ががわかない就活期間を過ご…