夕げ

こんにちは

湿度

雨が降った後の、青くさく匂い立つ土と水たまりの匂いが好きである。まるで気体がみどり色に色づいて見えるような、じっとりとしてふくよかで、湿った匂いが好きである。長靴が履きたくなる。だいたいあの匂いがするときは雨が止んで、下手したら虹も見えて、もう雨は降らないのだろうが、水たまりを踏みつけたいので長靴である。

あの匂いがすると、小学校のプールとその周囲を思い出す。プールサイドのアスファルトには先が尖った藻みたいな草がいっぱい生えていた。プールの柵の周りには畑と用水路があった。用水路の周りには背が高い草と、尖った藻が少しと、学校のうさぎが一番好きな草(少ししょっぱい)が生えていて、蛇もいた。雨が降ったあとに長靴を履かずにそこを歩くと、濡れた背が高い草が靴だけでなく足首やもっと上の方まで濡らしてくるので気持ちが悪かった。そこで蛇に噛まれた3年生の女子が、6年生の男子に「お前はもう死んでいる」って言われて大泣きしていたのも思い出す。わたしは5年生だった。

今日の雨は、じっとりとあたたかく湿って、その青くさい匂いが少しした。空気は完全にそれだった。もう5月がくる。5月が来たら、もう本番である。本腰をいれて青くさいのを肺いっぱいに吸い込みたい。ノスタルジーで苦しくなるほど。