私論、ゆめについて
みなさん、どうですか?
死んだら、星になりたいと?
わたしは、死んだら、星になりたくない。星になってしまうと、星を見れなくなりますからね。
それから、どうですか?天国と地獄はあるとお思いですか?そもそも死後の世界が?
わたしは天国とか地獄とかはあまり、得意では、いや、ええ、得意不得意というのはふさわしくない表現ではありますけれども、いや無論、そうですけれども。
わたしはですね、死んだら、まずは温かいお茶ですね。身体が冷えていますから。お茶を飲みたい。空は白んで、空気が薄氷よろしくきりりと張っていて、朝です。今日は晴れますよ。庭に椅子を出して、雀が砂を浴びるのを見ます。シロツメクサもたいそう気張って、ええ。日が傾いたころに、ラジオを。昔を思い出すようなのがいい。月が出たら、窓を開けますよ。寝巻きでは肌寒いから、毛布を。月明かりで本だって読めるんです。そばに置いたミルクのもうもうと立ち上る湯気で、夜が溶けちゃいそうなんですよ。月がちょうど木の陰に隠れるころに首を突き出して、上を見ますとね、もうそれは、それは目が痛いくらいの星。星ですよ。降ってくる。
わたしは死んだら、それですね。