夕げ

こんにちは

4月

女であるがために損をしたことがある。

最近は少しでも女がその人権や男との平等を求める姿勢を見せようものなら、こいつフェミか!と顔をしかめて煙たがられるような空気がある。とわたしは思ってる。特にネットを見ているとそう思う。

春休み中に、一年のとき取り損ねた英語の単位を回収するため1週間ちょっと集中講座を受けた。英語でディスカッションをする授業で、ウーとかアーとか言いながらだらだら汗をかいて与えられたテーマについてディスカスしまくる。そのときのテーマのひとつに、「生まれ変わるなら男?女?」というのがあった。クラスの人数は6人で、わたしともう1人女の子がいて、あとは男の子だった。わたしは目の前のペアの男の子に「わたしは男がいい」と言った。彼は部活で海に出ているから、肌は日に焼けていて着ているセーターが季節外れにさえ見えた。「どうして?」と彼は言った。「女でいるのは面倒くさい。化粧を強制される空気を感じるし、性的な嫌がらせを受けることもあるし、何より男の人から見下されている気がして嫌」とわたしは返した。もちろん流暢に言葉を発したわけでなく、ウーとかアーとか言って目を泳がせながら単語を羅列したに過ぎない。そしたら、アーハー、アイシーと言いながら相槌を打っていた彼が苦笑して、「そんなに?」と言った。「マジで?」とも。日本語で言った。英語の授業で日本語を喋ることは勿論ご法度だけど、一度単位を取りそこねた生徒が集まっているので先生も優しい。お咎めはない。

わたしは、そんなもんかーと思った。あと、いいな〜と思った。彼は男で、この社会で男という特権により無意識に守られているのだ。その権利を、知らず識らずに行使することだって、あるはずだ。彼からしたら、わたしが勢い余って過剰な表現をしたように思ったのかもしれない。もしくはものすごく被害妄想だと思ったのかも。

男の人は、見知らぬ女の人からの視線や言動で気持ち悪くなったりしたことがあるのだろうか。「誘っている」と思われるから半ズボンやタンクトップを着るなと言われたことはあるのだろうか。年上の異性にちんこのサイズ聞かれたことはあるのかな。

わたしは生まれ変わったら男になりたい。言葉遣いが多少荒っぽくても、たくさんお酒を飲んでも、あぐらをかいても、だらしがなくても、料理が上手じゃなくても、ムダ毛の処理をしなくても、上半身裸になっても咎められない、男になりたいな。