夕げ

こんにちは

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中学校を卒業して7年が経つ。小中高と、わたしは教室の真ん中にいるタイプの生徒だった。学級委員や生徒会をしていたし、体育祭や文化祭で幹部にならない年はなかった。楽しいこともあったはずなのに、いまになっては当時感じていた息苦しさばかりが思い出される。

きっと人並みに、人間関係には悩んだ。無視をされたり、やり返したり、時に相手の親も介入してくるような喧嘩になって縁を切った友達も何人かいる。

わたしは先生によく叱られる生徒だったので、叱られた思い出が色や場所を変えていくつもある。授業中に教室を追い出されたり、わたしの失態で授業を潰しての学級会になったり、校則違反で泣きながら先生の自宅まで電話をかけたり、自分が悪かったなあと思うことも、そうでないこともある。

中学生のときって、中二病なんて言葉があるくらい、特殊な時期だ。「へん」になりがちな時期。自意識が頭をもたげて、どんどん自分を臆病にさせる。それを取り繕うために、取り繕うすべを見つけるために無我夢中だ。それを周囲に悟られようものなら恥ずかしくてしょうがないので、また取り繕おうとなけなしの格好をつける。もう八方塞がりだ。

わたしの地元はかなりの田舎で、保育園から一緒の幼馴染たちと小学校6年間を共にし、中学からいくつかの小学校の生徒たちと合流するかたちだった。

中学って、目に見えない規則がいっぱいだ。1年生はカバンを肩掛けにしちゃいけない。廊下で先輩に会ったら挨拶。同じ小学校で仲良くしてた1個上の友達にも堅苦しい言葉遣い。1年生は黒か白のセーターだけ。いっぱいあった。その上、中学で一緒になった子たちは、小学校時代に学級崩壊を起こしている学年の子たちだった。はじめましてのコミュニケーションで当たり障りのない言葉を探していたわたしにとって、ためらいなく発せられる「しね」とか「きもい」とかいう“ツッコミ”は衝撃的だった。

わたしの「中2病」は、人の目が気になりすぎる症状が先発した。それから被害妄想。

中2病ってこういうのを表す言葉でないのは承知の上で、ここでは中学生ならではの「特殊な」精神状態を指す言葉として使うね。

とにかくみんながわたしを馬鹿にしているような気がして、とっても怖かった。同じグラウンドで練習しているサッカー部がどっと笑うとわたしのことを笑ったのかと冷や汗をかいたし、廊下ですれ違った先輩に挨拶をする前に目をそらされると嫌われたのかもと気が気でなかった。背が高いことも癖っ毛も同じ制服に似たような髪型ばかりの学校では浮いた存在に思われて、毎日こわかった。ちなみにわたしの中学は縮毛矯正が校則で禁止されていたから、賢い子たちは入学と同時に矯正して3年間をやり過ごす。生徒会副会長にもかかわらず中学2年で髪の毛がまっすぐになったわたしは職員室に呼ばれて叱られた。

学校ってメチャクチャ特殊な場所なんだって、学校を出てわかった。

男女どちらかに属さなければいけなくて、みんな同じ服を着て、同じ髪色で、目に見えない無意味なルールを慎重に守っていかなきゃいけない。たったいくつかの部活からひとつを選んで所属して、例外なく一位を目指さないといけない。ドロップアウトしたら学校での社会的地位を失うのも同然。教室では誰かとつるんでなきゃいけなくて、みんなと仲良く穏便にやってかないといけない。

制服を脱いだわたしがいま、当時のわたしに会えるなら、今よりちょっと背が低いわたしを抱きしめて言ってあげたい。

世界ってここだけじゃないよ。てか、学校が世界じゃないよ!

自信なさげで、猫背で、縮毛矯正でまっすぐな髪の毛で、なによりも嫌われることが怖かった、14歳のわたし!スクールバスで泣いていたわたし。頑張ってくれてありがとう。とっても可愛い、大好きだよ。